前回の記事で設計をしたカーソルキー付きパームレストを、実際に作ってみます。
素材にするパームレストは、以前自作したパームレストを使うことにしました。
それに、「Cherry MXスイッチ」と「RI-SWCB6」を埋め込んでみます。
キースイッチの土台を作る
キースイッチの土台となる部品は、前回の記事で設計したものをプラ板で作りました。
高さが8㎜なので、2㎜のプラ板を4枚重ねて接着し、一日放置して完全に固まるのを待ってから削り出します。
キースイッチが入る部分は、ドリルで複数の穴を開け、それを繋いで14㎜の穴に広げました。
これにキースイッチを載せるとこんな感じになります。
一つ飛び出している「Down」キーは打ちやすさを考えて2㎜下げているため、このままだとキースイッチの下の部分が底から飛び出してしまうので、キースイッチの底から出ているピンを切り飛ばし、配線用の端子も曲げています。
上が普通の状態のキースイッチで、下が加工したキースイッチです。
底から出ているピンは、キースイッチを基板などに留めるガイドのようなものなので、切ってしまってもスイッチの動作に問題はありません。
これでキースイッチの部分は完成しました。
パームレストに切り込みを入れる
設計したとおり、左に1㎝ずらす形でパームレストに切り込みを入れました。
鋸で真っ直ぐに切ってるつもりが、中々上手く切れなくて苦労しました。
切りすぎてしまった部分などは、あとで木工用パテで補修します。
さらに、裏面にはUSBケーブルを通す溝を掘りました。溝は左側から出すようにしています。
結構大きな切り込みを入れましたが、16㎜の厚い無垢板なので、ねじれたりすることもなく、強度も大丈夫だと思います。
土台とパームレストを接着する
出来上がったキースイッチの土台とパームレスト部分を接着します。
エポキシ系の接着剤で接着したあと、土台とパームレストの隙間を木工用パテで埋め、さらに、上からグルーガンで固めました。
3重に接着したので土台も完全にパームレストを一体化して、グラつくことはありませんでした。
キーの打ち心地に関わることなので、ここは慎重に作業します。
土台の部分が斜めに接着されないように、水平にも注意しました。
この状態でキースイッチを置いてキーキャップをつけてみます。
キーキャップとキーキャップの間は1㎜で、どのキーも干渉することなくスムースに打ち込むことができました。
キースイッチの配線をする
土台をつけたパームレストの部分が出来上がったら、土台にキースイッチをはめ込んで、裏側に配線します。
最初にGND用の黒い線を全てのキーに配線してから、もう一本の線をはんだ付けしました。キーの裏のスペースが狭いので、なるべく線を余らせないようにしました。
(慣れないはんだ付けで、汚くてすみません)
はんだ付けして配線を終えたら、一度キーがちゃんと動作するかUSB端子に繋いでテストします。
全てのキーが問題なく反応したので、配線を溝に通し、抜けないように二カ所をグルーガンで固めて保護しました。
これで、思いっきり引っ張ったりしない限り、抜けることはないと思います。
滑り止めのシートをひく
配線を終えたら、パームレストが机の上で滑らないように、底の面にシートをつけます。
使ったのは、車のダッシュボードなどに置いたものを滑らないようにするスポンジ状のシートです。
100均のダイソーで売っていたこのシートを切って、両面テープで貼り付けました。
粘り気があるスポンジで、カッターでは上手く切れないので、ハサミで切った方が綺麗に切れます。
角の部分が、ちょうどパームレストのRに合わせたように丸くなっていたので、その部分を生かしました。
このシートをつけると、底の面がグリップして全然滑らなくなります。
ツルツルの机の上でパームレストを使っても、動くことがありません。
また、これ自体がスポンジで少し弾力があるので、パームレストとして手を優しく受け止めるクッションの役割もしてくれます。
パームレストにつけたカーソルキーの打鍵感も、少し柔らかくなった感じです。
完成
最後にキーキャップを取り付けて完成したのが、以下のカーソルキー付きパームレストです。
既にキースイッチのキーの割り当てが済んでいるので、USB端子に差し込めば、このままでカーソルキーとして機能します。
この「RI-SWCB6」のコネクター部分にキーの割り当てなどが記憶される基板が入っているようです。
以下、HHKB(Happy Hacking Keyboard)英語配列モデルと合わせてみました。
違和感がない感じです。
もともと、HHKBに合わせて作ったパームレストなのでぴったりですし、パームレストにカーソルキーを埋め込んであるので、キーを足してもHHKBのコンパクトさをそこなっていません。
自然に英語配列モデルにカーソルキーを追加することが出来ました。
デザイン的にもカッコイイと思うのですが、どうでしょうか?
キーキャップは無刻印のものですが、普通のCherry MXスイッチなので、好みのものに変えることが出来ます。
今回はカーソルキーで刻印がなくても並びで配置が解ると思うので、このままにしようと思います。
使用感
完成したカーソルキー付きパームレストを数日間使ってみたのですが、最初はいつものようにファンクションキーと同時押しでカーソルキー使ってしまう場面が何度もありました。
慣れていて無意識に指が動いてしまった感じです。
ですが、意識してこのパームレスト上のカーソルキーを使っているうちに、段々こっちにも慣れてきました。
両手の親指でポチポチカーソルキーを押す感覚は、新鮮な感覚です。
そして、この形ですので、キーを見ることなくタッチタイピングで押すことも出来ました。
両手をホームポジションからほとんど動かさずにカーソルキーを押せて満足です。
それでいて、このキーは邪魔になりません。
しばらく使ってみましたが、他のキーを押そうとして間違ってカーソルキーを押してしまうようなことは一度もありませんでしたし、特に気を使わなくてもこのキーに触れてしまうことはありません。
上の写真で見ると分かるように、「Down」キーを他のキーより2㎜下げたのも正解でした。
「Up」キーも「Down」キーも問題なく押せます。
Cherry MXのキースイッチなので静電容量無接点方式のHHKBとは打鍵感は違います。
HHKBのコトコト、という感じではなくて、カシャカシャした感じです。
打っていて感じたのは、いつもより少し親指が疲れるようになったかな、という点です。
ずっと使っていると、ほんの少しですが、親指が疲れる感じがします(本当に少しだけです)。
それも、今まで他の指で押していたカーソルキーを親指が押すようになったことで生じたのかもしれません。
それなので、このまま使っていれば親指の動きも慣れると思います。
数日間の使用感なので、長く使ってみての感想は、また、しばらくしてからレポートしたいと思います。
まとめ
HHKBの英語配列モデルにカーソルキーを付けるという思いつきで始まったDIYは、今のところ成功と言えると思います。
HHKB英語配列モデルのカーソルキーがないことに不便を感じていた方には、こんな方法もある、と、お伝え出来ます。
また、HHKBだけではなく、Pokerのような同じくカーソルキーがないキーボードにも使える方法ではないでしょうか。
一つ欠点があるとしたら、このカーソルキーの配置に慣れてしまうと、普通のキーボードを使うとき、カーソルキーの位置が恐ろしく遠くに感じることです。
私はHHKBの日本語配列モデルも持っているのですが、普通のキーボードに比べたら近くにある日本語配列モデルのカーソルキーさえ遠くに感じます。
これに比べたら指を動かすのが面倒です。
でも、まあ、パームレストにカーソルキーが付いているので、普通のキーボードを使うときも、このパームレストを持っていけばいいだけです。
これを使うのにソフトのインストールやドライバを入れたりする必要もないので簡単にできます。
また、今はカーソルキーとして使っていますが、キーの割り当ては自由に出来るので、自分がよく使うキーなどを割り当てて使えますし、色々使い道はあると思います。
しばらく使ってみて、改善点があったら直すのもDIYの醍醐味でしょうか。
今回、カーソルキーを付けて、大好きなHHKBがまた一つ理想のキーボードに近づきました。
究極のキーボードを求めて、また、何かアイディアが浮かんだら、DIYしてみようと思います。
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