ポメラDM200の液晶を10.1インチに換装する②

ポメラDM200の液晶を10.1インチに換装する②

 前回の記事で書いたように、プライベートビエラの10.1インチ液晶がポメラDM200で使えることが分かったので、次に、これを使えるように、液晶のケース部分やDM200と接続するヒンジ部分を作っていきます。
 まず、液晶のケースをどのようにするか考えて、プライベートビエラの前面フレームをそのまま使うことにしました。
 この前面フレーム、元々持ち運びができるテレビ用で、お風呂などにも持ち込めるように作ってあるので頑丈です。そしてもちろん、液晶パネルにぴったり合うように設計されています。
 外観も樹脂で成形されていて素人の工作では作れないレベル。そして、下面には滑り止めのゴム足もついています。
 さらに、よく観察してみると、まさしくポメラDM200と合体させるのに都合が良い部分がいくつもありました(それについては後述します)。
 この前面フレームを使い、背面を塞ぐパネルを用意すれば、それで液晶のケースは簡単に作れそうです。

 前面フレームを流用するとして、まずはプライベートビエラとDM200の本体を繋ぐヒンジ部分を作ります。
 ヒンジの基部は、ポメラDM200に最初からついているものをそのまま使いました。

 これがDM200のヒンジ部分です。
 このネジ穴をプライベートビエラの前面パネルにネジ止めするのですが、プライベートビエラの前面パネルの下部には、それを想定したような溝がありました。

 この溝に角棒を添わせ、その角棒を90度角度を変えてDM200とビエラのフレーム双方にボルトで止めれば、それでヒンジ部分ができそうです。

 この溝に入れる角棒は、近くの模型店で簡単に入手することができたタミヤのプラ棒5㎜を使うことにしました。
 DM200とプライベートビエラ、双方の寸法を測って、ボルトを通す穴を開けます。
 DM200との接合部に四箇所、プライベートビエラとの接合部にも四箇所くらい開ければ、強度も保てると思います。

 ところが、電動ドリルを使ってプラ棒に穴を開けようとしたのですが、細い5㎜のプラ棒の真ん中に、垂直で等間隔な穴を開けるのは殊の外難しく、何度も失敗して、満足なものを作ることができませんでした。
 こういう加工はボール盤などで行うのでしょうが、持っていません。
 そこで、このような専用の治具を作り、電動ドリルからピンバイスに換えて慎重に穴開けをしました。

 即席で作った簡易的な治具ですが、プラ棒を真ん中の穴に通して垂直に穴が開けられるようにしています。
 効果は抜群で、垂直で等間隔な穴が開けられ、満足できる部品ができました。

 ただ、ポメラの基部の金具の長さが6㎜なので、これに1㎜のプラ板を張って片側を1㎜だけ増しています。
 この部品で、DM200とプライベートビエラの溝の中の底面をボルトとナットで繋ぎました。
 ボルトはM2の太さです。



 このように接続しました。
 プラスチックで強度がなければアルミの角棒などに変えようかとも考えていましたが、このプラ棒で十分なようです。

 次に、DM200の本体から出ている液晶用のケーブルを、プライベートビエラのこの下面にある四角い穴から通します。
 元々はスピーカー用の穴のようですが、この長細い端子がついたケーブルを通すのにぴったりでした。この穴がなければ、フレームの下面に横に長い穴を開ける加工が必要になったところです。

 これで、ポメラの本体部分とプライベートビエラの前面パネルを繋ぐヒンジ部分ができました。
 治具を作って穴開けの精度が出たおかげで、開閉もスムーズにできるようになりました。

 ヒンジ部分ができたので、液晶パネルをフレームに戻します。

 DM200には画面の開閉で電源のオンオフをする機構があるのですが、それも生かすことにしました。

 DM200は画面の開閉を磁力で検知していて、キーボードのこの部分にそのための磁石が埋め込まれています(このように鉄のドライバーなどを当てるとくっ付きます)。

 それを検知するのが、液晶の横ある小さな基板上の、この磁気センサーです。したがって、折りたたんだときキーボードの磁石とセンサーが重なるように基板を配置します。

 この位置に基板を設置しました。
 これで画面の開閉による電源オンオフも使えるようになります(仮付けでビニールテープで留めていますが、上蓋を作った際にそちらにきっちりと留めます)。

 次にプライベートビエラの前面フレームの裏に張るパネルを作ります。
 ここは液晶の裏側や配線を隠すだけで特に力がかかることもないので、1㎜のプラ板を切り出して作りました。


 このようにプラ板をカットして、ネジ穴を開けます。
 プライベートビエラの前面フレームには、裏に9個のネジ穴が開いているので、それでこのパネルを留めました。
 ネジはM1.4で長さが8㎜のものが合いました。ネジは皿ネジなので、専用のドリルで面をとってネジとパネルが面一になるように加工しています。

 加工した背面パネルはこのようにつや消しの黒で塗装しました。
 これをネジ止めして背面は完成です。

 最後に、ヒンジを隠す部品を取り付けます。

 これは元々ポメラについていた部品で、液晶画面を畳んだ状態で後ろから被せれば簡単に取り付けられました。

 少しガタつくので、硬めのスポンジを隙間に詰めて固定します。

 画面を開くと、このようにヒンジ部分を隠して「Pomera」の文字が見えるようになりました。

 これで10.1インチのポメラDM200の完成です。
 最初からこういう製品だったような、違和感がない外観に仕上がりました。
(文面は青空文庫からダウンロードした太宰治の「女生徒」を使用しています)

 折りたたむとこんな感じです。キーボード部分から大きくなった液晶の分だけはみ出しています。


 横から見るとこのように液晶のフレーム部分のゴム足で接地していました。ポメラのヒンジ部分だけで重量を支えているわけではないので、文字を打ってもぶれることなく、安定しています。
 また、液晶は大きくなりましたが、キーボード部分の本体が重しになって、ここまで開いても後ろに倒れることはありませんでした(最大まで開くと後ろに倒れてしまうので、その角度で使う場合はスマートフォンやタブレット用のキックスタンドを付けるといいかもしれません)。


 大きさは液晶部分が普通の大学ノートと同じくらいで、キーボード部分が少しはみ出します。


 7インチのポメラDM200との大きさ比較です。

当然、7インチのポメラよりも大きくなっていますが、画面が広くなって表示できる文字数も多くなっています。


 色々な部品をそのまま流用したことで、比較的簡単に液晶を10.1インチにインチアップすることができました(文面は青空文庫からダウンロードした坂口安吾の「桜の森の満開の下」を使用しています)。

 適合する液晶を探し、それが思いがけないところで見つかって、このように使える形まで持っていくことができました。
 完成して数日使っていますが、今のところ不具合はありません。元々、文字書き専用マシンとして最高峰だったDM200が大画面で使えるようになって大満足です。大きくなりましたが、ギリギリ持ち運ぶのが苦ではない大きさだと思います。

 以前作ったメカニカルキーボードのDM200「メカポメラ2号機」は打ち心地が最高ですが、こちらは広い画面が使えて最高です(メカポメラ2号機を大画面にしたら、などとも考えてしまいました)。
 元々、DM200のキーボードは打ちやすかったので、今のところ、この10.1インチのDM200が私にとって最高の文字打ちマシンになりました。
 DM200は販売終了してしまったようですが、さらに進化した次世代機が出てくることを信じて、それまでこのDM200を使っていこうと思います。

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※真似される方はいないと思いますが、改造は危険です。
もちろん、メーカー保証は受けられませんし、大切なDM200を文鎮化してしまう恐れもあります。
真似されたことによって被害があっても、当方は責任を負えません。
改造は自己責任でお願いします。

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