オークションで購入したソニーのワープロ専用機PJ-555を分解したところ、メカポメラ3号機のケースに使えそうだったので、このまま改造していきます。
まず、ケースに使うPJ-555の筐体を中性洗剤で洗いました。
その後、表面の小傷やスレが気になったので、コンパウンドで磨きました。目の細かさを三種類変えて、丁寧に磨いてあります。
小傷やスレが消えて綺麗になりました。この蓋の部分には、注意書きのシールや、昔の「It’s a Sony」のシールが張ってあったので、それらは剥がしました。
まだ幾つか傷は残っていますが、気にならない程度なのでこのままこれで作成します。
次にこの液晶パネルを処理します。
この液晶パネルは、ガラスに偏光フィルムと液晶フィルムが張りついています。真ん中のガラスは、中に仕込む10.1インチ液晶を抑える役割と、保護カバーとして使えそうなので、フィルムを剥がして再利用することにしました。透明なアクリル板を使うことも考えましたが、より透明度が高いガラスの方が表示が綺麗になると思い、採用します。
二枚のフィルムのうち、液晶フィルム方は簡単に剥がれました。少し酢酸臭がしたので、ビネガーシンドロームが進行していたのかもしれません。
一方の偏光フィルムはガラス面にがっちりと張りついていて、中々剥がせずにに苦労しました。剥がしたあともシールの粘着部分が残ったので、シール剥がし剤とヘラを使ってコツコツと綺麗にしました。今回、この作業に一番時間がかかっています。
このシール剥がし剤がガラス面の粘着を剥がすのに有効でした。
そうして綺麗にしたガラスの中央にマスキングをして、プライマーのミッチャクロンを吹きかけた後、黒で塗装しました。黒で塗装していない部分が新しい液晶の表示範囲となります。表示範囲は元のワープロより一回り狭くなりました。これをひっくり返して、塗装面を内側にして使います。
中に入れる液晶は、Panasonicのポータブルテレビ、プライベートビエラの、UN-10E7という機種から取り出したものです。10.1インチ1024×600のTFT液晶で、型番はTM101DDHG04となります。この液晶のピンアサインとポメラDM200のピンアサインがほぼ同じで流用できました。
次にキーボードとメイン基板を乗せる底部分の加工に移ります。
キーボード部分には、メカポメラ2号機のキーボードを使いました。
これはFILCOのMajestouch MINILAの中身を改造して、配線をポメラのキー配列に繋ぎ直したものです。
キースイッチはCherryMXの茶軸を使用しています。キーキャップはMajestouch MINILAの物をそのまま使いました。
さらに、今回はファンクションボタンを付けることにしたので、このキーボードに配線を追加していきます。
これがPJ-555のファンクションボタンの裏に付いていた基板です。複数のタクトスイッチが一列に並んでいます。
このタクトスイッチの端子と、キーボードの配線を繋ぎました。一番左のスイッチは外して、そこにポメラの電源ボタンを移植しています。これで、メカポメラ2号機で省略していたファンクションボタンも使えるようになりました。
また、PJ-555の側面にあるPCカードスロットやスキャナーの端子の穴は、黒に塗装したプラ板で内側から塞いでいます。
さらに、新しいキーボードの横幅がPJ-555のキーボードよりキー1.5個分狭いので、その部分もプラバンで塞いで裏からグルーガンで留めました。
その他に、底面のネジの突起やピンなど、キーボードやメイン基板を入れるのに邪魔になるものは取り除いてあります。
これで、PJ-555のケース側の加工は終わりました。
ケースの加工も中身の加工も終わったので、ケース内にこれらの部品を組み込んでいきます。
キーボードとメイン基板を取り付けた状態です。
キーボード部分は、下面に真鍮のスペーサーを入れて底面にボルトで留めてあります。
メイン基板はプラ板で底上げして3Mの強力な両面テープで留めました。
次に、上の蓋部分に液晶を乗せ、さらにその上から先程加工したガラスを乗せ、元の液晶を留めていた金属パーツでネジ止めします。苦労してガラスを加工したこともあって、ぴったりと合いました。
元のワープロより表示範囲が若干狭くなっていますが、既製品と遜色ないような仕上がりになりました。
液晶部分、底面のキーボードとメイン基板の部分が出来上がったので、その二つを合体させれば出来上がりです。
ソニーのワープロ専用機、PJ-555の筐体にポメラDM200とメカニカルキーボードを仕込んでメカポメラ3号機が完成しました。
液晶画面を畳むとこのようになります。
液晶の加工はかなり時間も労力もかかりましたが、違和感なく10.1インチ液晶を収められました。
手前の普通のDM200と大きさを比べてみます。
もちろんメカポメラ3号機の方が大きいですが、そこまでの大きさではありません。
画面を開いた大きさはこのようになります。
当然ですが、普通のDM200の7インチ液晶と比べると画面はかなり大きくなっています。
メカポメラ3号機の10.1インチ液晶は、フォントを小さくしてより多くの文字を表示することができますし、アウトライン機能や分割表示を使う際もその広さを活かせます。
(画面の色味が違って見えますが、カメラで撮った影響なのか、肉眼で見ると両方ともほとんど変わりません)
同じメカニカルキーボードの文字打ち機、Freewriteと並べてみました。
横幅はメカポメラ3号機の方が広く、奥行きはFreewriteの方が深くなっています。
メカポメラ1号機と並べてみました。
外観も中身も、1号機からだいぶ進歩しました。
素のDM200と比べてかなり大きいですが、そこまでの大きさではないので、机の上に置いてメインPCを使いながら思い付いたことを書く、という用途にも使えそうです。
SDカードは元のPJ-555の2インチフロッピーディスクのスリットから刺すことができます。
同じように、充電やデータ交換用のUSBケーブルもその横に広げた穴から差し込めるようにしました。
19㎜ピッチのメカニカルキーボードでガンガン文字を打てるのは心地良いです。
この画面は、パカッとただ後ろに開くのではなく、一度手前にスイングしてから倒れる機構なので、キーボードと画面の位置が近く、それが打ちやすさに繋がっているようでした。
メカポメラ2号機では省略したファンクションキーを使えるようになったのも便利です。
10.1インチ液晶でメカニカルキーボードのポメラDM200が作りたくなって、その筐体にワープロ専用機が使えるのではないかと思い付いたところから、このようにそれを形にすることができました。
・中身はキングジムのポメラDM200
・外観はSONYのワープロ専用機PJ-555
・液晶はPanasonicのプライベートビエラUN-10E7
・キーボード部分はFILCOのMajestouch MINILA
と、色々な部品を寄せ集めて、昔のワープロ専用機からプリンターを取ったような機器を実現するという目的が達成出来ました。
ポメラDM200は昔のワープロ専用機に比べて圧倒的に変換精度が高く、アウトライン機能や類語辞典など、文書作成をサポートしてくれる機能を満載しているので、当時のワープロ専用機よりもかなり便利な機器を作ることができたと思います。
画面を開くとすぐ文字を打てるポメラは、やはり、最高です。
それを広い画面で、さらにメカニカルキーボードで打てるのは私の理想の文字打ち機です。
大きさが違うので、外出時は普通のDM200、家ではメカポメラ3号機と、これから使い分けていきたいと思います。
なお、これなら普通のノートPCでいいじゃないか、というツッコミはなしでお願いします(本人が一番そう思っています。一応、19㎜ピッチのメカニカルキー搭載というアドバンテージもありますし)。
ところで、キングジムさんがDM200の後継機、DM250を出してくれたようですが、性能が向上したそれを使えばさらに高性能なメカポメラができるのでは………………いえ、考えただけです。
※真似をされる方はいらっしゃらないと思いますが、ポメラの分解、改造は自己責任でお願いします。
高価なDM200を分解して文鎮化させても当方では責任をとれません。
また、DM200には無線LAN機能やBluetooth機能がありますが、分解した時点で技適を外れているので、このメカポメラで無線LAN機能やBluetooth機能を使うと違法になると思われます。
よって、このメカポメラではそれらの機能を使わず(元からDM200の無線LANは使っていなかったのですが)、ファイルのやり取り等は、SDカードかUSBケーブルを介して行っています。
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