ポメラDM200の液晶を10.1インチに換装する①

ポメラDM200の液晶を10.1インチに換装する①

 ことの発端はオークションサイトでジャンクのポメラDM200を見付けたことでした。

 そのDM200は、液晶画面の発色がおかしくなっているというもので、安価で売られていました。画面以外の異常はなく、普通に使えるとのことでした。
 以前、メカニカルキーボードのDM200を作った経験から、液晶画面を交換すれば直ると考え、それを購入しました。
 さらに、ただ直すだけではつまらないので、今回は液晶を7インチからインチアップしてみようと思い付きました。メカニカルキーボードのDM200を作ったとき、壊れていた液晶の代用を探していて、ポメラに使える液晶を見付けたのですが、そのときその液晶を作っているメーカーが、7インチのものと同じピンアサインで8インチの液晶を出していることも分かっていて、簡単にインチアップできると考えたのです。

 これが購入したDM200です。
 上蓋には使用感が見られますが、それ以外は綺麗で、キーのてかりも少ないものでした。

 しかし、このように画面が紫色になっています。
 出品された方のコメント通り、画面の発色がおかしい他に異常はなく、普通に使えました。

 さっそく、分解してみます。

 ところが、分解してみて困ったことが分かりました。
 このDM200の液晶は壊れていなかったのです。一旦メカニカルキーボードのDM200を分解し、その液晶と交換してみると、ちゃんとした発色をして、異常のない液晶だったのです。
 液晶が壊れていないとなると、本体が壊れていることが考えられ、そうなると素人の私には修理など手も足も出ません。

 お金を無駄にしたかと思いつつ、他の原因を探って、まず、ポメラ本体と液晶を繋ぐケーブルを調べました。このケーブルは液晶画面が開閉するヒンジの部分にあり、それが劣化して断線し、色の異常があるのかもしれないと考え、これもメカニカルキーボードのDM200に繋いで確認してみました。
 しかし、このケーブルにも異常はありませんでした。


 あとは、液晶の横についているこの小さな基板です。
 この基板には、チップコンデンサや画面の開閉を磁力で検知するセンサーなどが載っています。
 この基板を正常に動いているメカニカルキーボードのDM200に付けてみると、メカニカルキーボードのDM200の発色が紫になりました。
 ということは、壊れていたのはこの基板だったようです。
 本体が壊れているのではなくてホッとしました。
 これくらいなら、チップコンデンサの交換などで私でも修理できるかもしれません。

 小さな基板をしばらく眺めてみました。

 しかし、チップコンデンサに目視できるような異常はありません。焦げていたり、破裂していたりすればすぐ分かるのですが、それはないようです。
 交換するにしても、静電容量を調べたり、代わりのコンデンサを用意したりしなければなりません。しかし、その前に一度はんだをやり直してみることにしました。というのも、ケーブルの抜き差ししているときに希に画面が元の発色に戻ることがあり、それははんだにクラックが入っていて、接触が悪いのが故障の原因かもしれないのです。
 ヒートガンなどあれば早いのでしょうが、持っていないので、はんだ付けしてある部分にはんだごてを押し付け再加熱しました。はんだが少ない部分には少しだけはんだを盛りました。
 基板上の大体のはんだ付け箇所を処理して、あらためてケーブルと液晶を繋いでみます。

 すると、嬉しいことに直ってしまいました。
 元の発色に戻っています。正常なDM200に戻りました。

 これで、改造の本題に戻れます。

 さて、本題の液晶インチアップですが、7インチから8インチだと大きさの変化も僅かなので、どうせなら10インチサイズを狙ってみることにしました。
 ポメラの7インチ液晶は1024×600の解像度です。それと同じ解像度では、10インチ程度が実用できる範囲で最大ではないでしょうか。キーボードとのバランスでも、それが最大だと思います。
 以前、メカニカルキーボードのDM200を作ったときに使った7インチ液晶を販売しているメーカーでは、その解像度で10インチの取り扱いはありませんでした。
 そこで他のメーカーの10インチ液晶を当たってみます。
 10インチサイズで、1024×600の解像度、そして接続する部分が40ピン、その条件で無数の液晶がありました。
 その中から、ポメラと同じピンアサインを持った液晶を探します。
 公開されているデータシートを睨めっこしながら探して、幾つか使えそうなものを見付けました。
 さらに、その中からB to Bではなく私のような個人でも入手できるものということで、一つの製品に絞ります。
 それがTIANMAというメーカーの「TM101DDHG04」という製品です。データシートも公開されていて、ポメラの40ピンのピンアサインとほぼ同じでした。
 アリエクスプレスなどで、安いところだと六千円から七千円くらいの価格で販売されていました。

 早速輸入、と思ったのですが、以前中国から輸入したときの7インチくらいなら破損もなく安全に送られてきましたが、繊細な液晶で10インチの大きさともなると輸送中の破損が心配です。それに、本当にDM200に使えるかも分かりません。また、コロナの影響によるロックダウン等で深センなどからの貨物に遅延がみられるとの報にも触れ、購入を躊躇していました。

 なんとか日本国内で該当製品を扱っているところはないか、さらに調べていると、それが思いがけないところにありました。
 Panasonicが出している「プライベートビエラ」というポータブルテレビの、2017年モデルの液晶画面に「TM101DDHG04」が使われていたのです。品番でいうと「UN-10T7」と「UN-10E7」という二つの製品でした(前者がタッチパネルモデルです)。
 しかも、そのプライベートビエラのモニター部の交換部品として、未使用の液晶部分だけがオークションサイトで販売されているのです。さらに、嬉しいことに価格がアリエクスプレスの半分ほどでした。
 これは試さない手はありません。
 早速落札すると、翌日発送で二日後にはもう届いていました。

 送られてきたのはこのような部品です。
 液晶と、テレビの前面パネルが一緒に梱包してありました。


 パネルから外したこれが「TM101DDHG04」です。
 ノングレアの液晶なので反射もなく見やすいはずです。

 はやる気持ちを抑え、DM200に繋いでみます。

 しかし、あれ? うんともすんともいいません。

 やっぱり、いくらピンアサインが同じでも、7インチ用に作られているDM200で、10インチを動かすのは無理なのか、などと考えていると、んっ? なんか焦げ臭い。

 それも、液晶パネルから匂う!

 って、慌ててDM200から外しました。
 すぐに気付いて火事などにならなくてよかったです。

 無残にも焼けて壊れてしまった液晶パネルを見ながら、素人が下手に改造に手を出すものじゃないと反省しました。そして未練がましく液晶パネルを見ていて気付いたのです。

 これ、ピンが逆じゃないか? と。

 そうです、探していた液晶を見付けて喜んでよくピンの配列を見ずにDM200につけて電源を入れましたが、DM200の1番から40番のピンと液晶の1番から40番のピンが逆なのです。
 以前、メカニカルキーボードのDM200を作ったときはそのまま使えたのですが、この製品は逆にしてから使わないといけなかったのです。

 完全に私の不注意でした。

 自分の馬鹿さ加減に呆れながら、もう一つ注文します(懲りない奴です)。

 前回はタッチパネル付のUN-10T7でしたが、タッチパネルは使わないので、タッチパネルなしのUN-10E7を買ってみました。
 タッチパネルの有り無しと、フレームの色が黒と白で違いがありますが、中の液晶は同じ「TM101DDHG04」が使われています。

 さらに、配線をひっくり返すために、端子が互い違いの面に出ているFFC(フレキシブルフラットケーブル)、40pin0.5mmピッチとFFCの延長用コネクタを買いました(コネクタは注文したとき在庫がなかったので、50ピンのものを片側に寄せて使います)。

 液晶とFFCを揃え、このようにDM200に装着しました。今度こそ間違いはないか配線を何度も確認して、電源を入れてみます。

 すると、あっさり表示できました(まだヒンジ部分がないので、液晶をタブレット用のスタンドに立てかけています)。
 文章は「青空文庫」からダウンロードした太宰治の「女生徒」を表示しています。

 最初に10.1インチの画面を見たときは思わず「でかっ!」と呟いてしまいました。
 普段使っている7インチのDM200の画面が10.1インチに引き延ばされているのは不思議な感じです。
 
 動作を確認してみましたが、照度の上げ下げも出来ますし、白黒反転も問題ありません。全ての機能が使えました。
 画質ですが、1024×600の解像度は変わらず7インチから10.1インチに伸ばしただけなので、7インチの液晶より僅かにぼやけた印象です。ですが、使い物にならないというわけではなく、文字も十分鮮明で、7インチのDM200を使ったことがない人が見たら、こういうものかと思うかもしれません。
 10.1インチにしたことはにはそれ以上の恩恵がありました。

 まず、DM200に用意されているフォントの一番小さいものは7インチだと見にくいのですが、10.1インチだと十分に実用範囲です。

 また、DM200は画面を二画面に分割できるのですが、その際にも有用です。
 フォントを小さくしても二画面がよく見えます。
 DM200にはアウトライン機能もあるのですが、それを使う際にも画面が広いと使い勝手がいいです。


 7インチのポメラDM200(左)と画面の大きさを比べてみました。
 7インチの方はフォントが20dot、10.1インチの方は16dotと10.1インチの方が小さなフォントなのですが、画面を見ると10.1インチの方が文字が大きく見えます。そして、表示している文字数は10.1インチの方がかなり多くなってるのが一目瞭然でした。
 バッテリーのもちは10.1インチの方が悪いでしょうし、持ち運ぶのは7インチの方が楽なので使い分けができそうです。

 とにかく、DM200の10.1インチへのインチアップには成功したので、今度はこの液晶のケースやヒンジ部分などを作って、実際に使える形にしたいと思います。

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※真似される方はいないと思いますが、前述したように改造は危険です。
もちろん、メーカー保証は受けられませんし、大切なDM200を文鎮化してしまう恐れもあります。
真似されたことによって被害があっても、当方は責任をとれません。
改造は自己責任でお願いします。

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