メカニカルキーボードのDM200を作る①

メカニカルキーボードのDM200を作る①

以前、ポメラDM20のキーボードをメカニカルキーボードに改造した「メカポメラ」を作りましたが、それは毎日便利に使っています。
外に持ち運ぶことを考えていないので大きくはなりましたが、やはり、19㎜ピッチのメカニカルキーの打ち心地が良く、筆も進みます。

「メカポメラ」には満足しているのですが、しかし、これを使うにつれ、ポメラDM200にメカニカルキーボードが付いていたら、などという想いが浮かんできました。

ポメラDM200は、DM20に比べて画面が大きく、縦書き対応で、日本語変換のATOKもかなり賢くなっています。
アウトライン機能がついていて、長文の執筆や編集にとても便利。辞書も、国語、英和、和英に加えて類語辞典まで入っています。
DM20が思い付いた文章を書き殴る「メモ」なら、DM200はさらに書いた文章の編集もできる性能があります。昔のワープロ専用機からプリンターを取ったような理想的な執筆環境が、あの小さな筐体に詰め込まれています。
そのDM200にメカニカルキーボードを搭載すれば、携帯性こそ犠牲になりますが、さらに理想的な執筆環境を手に入れられるんじゃないか、そんなことを考えました。

そこで、DM200もDM20同様メカニカルキーボード化できるのか、構造を探ってみようと思います。

ですがDM200は高価で、さすがにそれをおいそれと分解することはできません。
分解して壊して文鎮化させてしまったときのダメージが大きすぎます。
そこで、中古で安いものがないかと探していると、オークションにジャンクのDM200が出品されているのを見付けました。
付属品なし、液晶画面が割れていて起動もしないということで投げ売りされていたものです。
ジャンクなら壊すことを気にせず遠慮なく分解できるので、これなら目的にかなうと、入札して落札しました。

下の写真が送られてきたDM200です。

このように外観にはスレがあります。

角が一カ所潰れていたので、落下して壊れたのかもしれません(あとで分解した際に、ここのネジだけネジ山が潰れていたので、やはり落下したようです)。


外観は汚れていましたが、開いてみるとキーボードは新品のように綺麗でした。
文字のかすれやキーのテカりもありません。

液晶画面はかなり酷く割れて、派手に罅が入っています。
一応、USBポートをアダプターに繋いで電源ボタンを押してみましたが、画面には何も表示されませんでした。やはり、壊れているようです。もしかしたら使えないか、などと淡い期待を抱いていましたが無駄でした。
しかし、これで心置きなく分解出来ます。

まず、キーボードなどがある下半分の分解からかかりました。
最初に下面のネジをすべて外ます。上下二つのプラスチックの筐体はぐるっと何カ所かの爪で留めてあるので、隙間に精密ドライバーを差し込み、それをプラスチック片で広げながら爪を外しました。
使ったプラスチック片は、CPUクーラーのグリスに付いていたプラスチックの刷毛で、くさび形なのでこの用途にとても便利でした。

このように、メイン基板と大きなバッテリーが見えます。
基板まわりにおかしな点はなく、水没したようなあともありませんでした。
基板の下側にあるフレキシブルケーブルが、キーボードに繋がっているのだと思います。

次に、上半分の液晶画面の方を分解します。

同じようにネジを外して爪を外しましたが、上側は無傷で外すのが難しく、何カ所か爪を折ってしまいました。特にヒンジをカバーするパーツ(写真右側のパーツ)の取り外しが難しくて、無理矢理外したので破損して、もう元には戻らなくなってしまいました。
これがジャンクでなかったら、ショックが大きかったところです。

上半分には、写真のように、液晶画面とそれを繋ぐ基板が入っていました。
この基板にはホールICと思われる部品があって、折りたたんだ時に下半分と重なる箇所に磁石があるので、画面の開閉はそれで検知しているようです。

液晶から伸びているフレキシブルケーブルを留めていた銅のテープを剥がして、液晶を基板とフレームから外しました。

このように液晶画面はバリバリに割れています。フレキシブルケーブルが繋がる基部のところからごっそり割れているので液晶が完全に壊れています。

ここまで分解して、一つの疑問が湧いてきました。
もしかしたらこのDM200は、液晶が壊れているだけで、本体は生きてるんじゃないかと思われるのです。

ポメラにはパイロットランプがないので、電源が入っているかいないのかは、液晶画面がついているかいないかで判断します。
しかし、この個体はこのように液晶の基部が完全に割れていてそれが分かりません。
落下などで液晶画面が割れて反応しなくなったことで、本体まで壊れたと判断してジャンク扱いになったのかもしれないのです。
メイン基板には、水没したあとや配線が焼けたあとなどは見当たらず、目視ではとても綺麗な状態でした。

このDM200は、メカニカルキーボードのDM200を作る際の下調べの素材として購入しましたが、もし、本体が故障してなければ、これをこのまま改造に使えます。
本体が壊れていなければ、液晶パネルを交換することでこのDM200を生き返らせることができます。

そこで、代わりの液晶パネルが入手出来ないか、色々調べてみました。

DM200の液晶は、1024×600の7インチTFT液晶です。
液晶パネルの裏面には型番らしきものが書いてありますが、該当するような製品は見付けられませんでした。
液晶パネルから伸びているフレキシブルケーブルが基板に届くぴったりの長さなので、そもそもこれはDM200用の特注品で、販売はしていないのでしょう。
さらに調べていると、型番の書式などからこれに近い製品を中国のサイトで見付けましたが、それはB to Bでの取り扱いしかなく、個人には売ってもらえないようです(中国語や英語の交渉能力があれば可能かもしれません)。

諦めかけていたところ、その製品が、同じ7インチで1024×600TFT液晶のAndroidタブレットに使われていることが分かりました。
そこから辿って、フレキシブルケーブルの長さ以外、仕様が同じで使えそうな液晶パネルを見付けます。
Androidタブレットの交換用液晶として売られている製品でした。
それがDM200に使える確証はありませんが、ダメ元で買って試してみることにします。

そのパネルは、aliexpressなどのサイトで複数の業者から取り扱いがありました。
その中から、実績があって信頼できそうな業者を選んで購入します。

注文した品は、中国、深センからChina Postでの発送で、注文から12日で届きました。
経験上、この配送方法だと20日程度はかかると思っていたのですが、かなり早い到着でした。
向こうの業者が注文を受けてすぐに発送してくれたようです(注文したのが深夜だったので実質11日しかかかっていません)。
発泡スチロールのケースに入って、透明なガムテープぐるぐる巻きで届きました。

発泡スチロールの中で、更にプチプチで包んで、その中のビニール袋に入っていました。
発送が早くて、梱包も丁寧、当たりの業者を選んだようで一安心です。


製品はこのような状態でした。画面には保護フィルムも貼ってあります。

DM200の液晶と並べてみます。上が今回買った液晶、下がDM200の液晶です。
今回買ったパネルはタブレット端末の交換用で、フレキシブルケーブルがそれに合わせた長さになっているので、DM200のパネルと比べてかなり短くなっています。
また、周囲が銀色のフレームで覆われているのが外観上の大きな違いです(フレームの分狭く見えますが、描画面積はどちらも同じです)。

さっそく、これをDM200に繋いでみます。

すると、あっさりDM200が起動しました。
パスワードを設定してあったようで、入力画面が出ています。
やはり、この個体は液晶画面が割れていただけで、本体内部は無傷でした。

このままではパスワードロックが掛かっていて使えないので、すべてをリセットして工場出荷状態に戻してみます。

このように、普通に使える状態になりました。
すべての機能が使えますし、キー操作もすべて受け付けます。
バックライトの照度調節も出来ました。
フレキシブルケーブルが短いので元の形態には戻せませんが、こうして機能が生きていれば、改造には使えます。

メカニカルキーボード化の方法を探るためのサンプルとして買ったのですが、嬉しい誤算でした。

これで、この個体が使えることが分かったので、次回以降は、肝心なキーボード周りなどを調べて、DM200メカニカルキーボード化への道を探ろうと思います。

※今回使用した液晶パネルは汎用品で、DM200用として売られているわけではありません。耐久試験をしたわけでもないので、寿命がどれくらいかも分かりません。このまま使用することで不具合が出て本体を壊す可能性もあります。本文中にもありますが、そもそも分解の際に爪が折れて元に戻せなくなるので、分解はお薦めしません。それによって大切なDM200が壊れても当方は責任を負えません。真似される方はいないとは思いますが、分解、改造は自己責任で行ってください。

メカニカルキーボードのDM200を作る②の記事に続きます。

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