メカニカルキーボードのDM200を作る③

メカニカルキーボードのDM200を作る③

 前回の記事でポメラDM200のキーボードの配線が分かったので、それをメカニカルキーに置き換えていきます。

 まずは、DM200のキーボードの配線をフレキシブルケーブルで引き出します。
 前回分解した際にDM200のキーボードのソケットが0.5㎜ピッチの28ピンだと分かっているので、同じ規格のフレキシブルケーブルを購入し、それに合うソケットを探しました。

 今回使うのはこのソケットです。30ピンで、両面にソケットがあり、一つの面が0.5㎜ピッチ、もう一つの面は1㎜ピッチで、両方に対応出来るようになっています。
 これで、ソケットに挿したフラットケーブルを、2.54mmピッチのユニバーサル基板と同じピッチに変換出来ました。メカニカルキーボードからの配線をここに繋ぎます。

 DM200に繋いで、このように配線を引き出しました。

 このフレキシブルケーブルに繋ぐメカニカルキーや、そのフレームについては、前に「メカポメラ」を作ったとき同様、市販のメカニカルキーボードを分解して使うことにしました。
 キーキャップとキースイッチ、フレームとPCBがいっぺんに手に入って安上がりです。

 キーボードについては、日本語配列で、68個前後のキーを持ついわゆる60%のキーボードにすることにしました。ポメラのF1~F10までのファンクションキーを全て再現する場合は、テンキーレスなど、もっとキーが多いキーボードを選ぶべきですが、それだと大きくなってしまうので適当ではありません。ファンクションキーはショートカットで代用できるので、省いても使えなくなる機能はなく、問題ないと思います。
 
 ドナーになる適当なキーボードがないか探していると、オークションに「Majestouch MINILA Air JP68キー」のジャンク扱いが出品されているのを見付けました。ジャンクの理由はBluetooth接続が不安定だということで、外観やキーなどには問題がないようです。
 Bluetoothが不安定で使えなくても、キーキャップとメカニカルキー、フレームが使えればそれでいいので、落札してみます。

 届いたキーボードは、キーキャップのテカりや外観の傷なども殆どなく、綺麗な状態でした。
 内部が故障していなければ、新品に近くて十分美品で通用します。

 内部の構造を調べるために、外周のフレームを外しました。

 キーキャップも外します。
 キースイッチはCherry MXの茶軸でした。そのスイッチを支えるのは、鉄の分厚いフレームと、その下の基板です。ここもすごく綺麗でした。
 この鉄板の下に基板があって、キースイッチがはんだ付けしてあります。ケースとこの部分は、基板に開いた穴とケースの底板にあるピンで繋がっています。
 メカポメラを作った際に使ったキーボード「Black Pawn」では上の鉄のフレームにネジ穴があってそこでケースに留めてあったので基板は使わなかったのですが、このキーボードは基板で留めてあるので、それが必要です。
 そこで、今回はこのキーボードの基板を付けたまま、その上から配線し直すことにしました。
 ただし、そのままでは元の配線が生きていて余計な部分がショートしてしまうので、元の配線を切ります。
 この基板には裏表両面に配線が走っているので、それを切るために、一度キースイッチを外しました。
 はんだ吸い取り器を使ってはんだを除去し、68個のキー全てを外します。
 68個のキーを外すのは苦行でしたが、前回の「Black Pawn」の時は一つ一つのキーにLEDが付いていたので、一つのキーについて四つのはんだを外す必要があり、その半分と思えば楽なものです。

 そうして、フレームと基板が外れた状態です。
 外したついでにキースイッチをテスターで調べましたが、68個全てが正常でした。

 元々基板に走っている配線をPカッターで切断します。切断した部分が錆びたり、なにかの拍子にゴミなどが付いて通電するといけないので、切った部分にはコート剤を塗って、保護と絶縁をしておきました。

 両面すべての配線を切って、コート剤で保護したあと、キーボードをケースに取り付けるためのスペーサーを立てました。キースイッチを取り付けると外せなくなるので、先にネジを入れておきます。

 あとは、もう一度スイッチを取り付け、前回の調査を元に、ポメラに合わせて配線していきます。

 配線に使ったのは0.29㎜のポリウレタン銅線(エナメル線)と、0.32㎜の架橋ポリエチレン電線です。
 基板の上を這わせたのはポリウレタン銅線で、それをソケットに繋ぐ線はポリエチレン電線にしました。

 地道に作業してこのように配線しました。
 前回の記事で、GIMPに描いた配線のレイヤーを一本一本切り替えて見ながら、間違えないように注意深く配線しました。
 ポリウレタン銅線が交差する部分に傷がついていて、接触してショートするのが怖くて、ビニールテープを貼っているので、見栄えが汚いのはご容赦ください。

 配線が終わり、キースイッチに再びキーキャップを取り付けて、キーボード部分が完成しました。


 さっそく、DM200に繋げて試し打ちです。
 一つ一つ確かめていくと、三つほど反応しないキーがあったので、その部分だけはんだ付けをやり直しました。加熱が足りなくて、銅線の皮膜が十分に溶けていなかったのだと思います。
 それ以外の場所は問題なく、配線の間違いもなかったようで、全てのキーが正常に動作しました。

 DM200をメカニカルキーで打てる感触は格別です。
 まだ液晶も基板も剥き出しのままですが、これが素晴らしい道具になりそうなことは、この状態でも分かりました。

 今回、基本的にはポメラのキー配列をこのメカニカルキーボードに移したのですが、このキーボードでWinキーになっている部分はポメラのMENUキーに、最下段の左から四番目の×のキーは日本語入力のオンオフキーに、そして、普段私が使わない前候補キーは、F6キーに置き換えています。
 DM200のF6キーは、縦書きと横書きを入れ替えるキーで、私は普段縦書きで文章を書いているので、このブログなどのように、横書きにしたときの見栄えを確かめるのに、キー操作一つで入れ替えられると便利そうなので、そのようにしてみました。
 実際に使ってみて、あとでもっといいキー配置があったら配線し直そうと思います。

 これでDM200のメンブレンキーボードをメカニカルキーボードに置き換えることが出来たので、次回の記事では、これをどのようなケースに納めるか考えます。

メカニカルキーボードのDM200を作る④の記事に続きます。

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