前回の記事でポメラDM20とHHKB(Happy Hacking Keyboard)をつなげるアダプターを完成させました。
ですが、このままだと基板がむき出しですし、ポメラとアダプター、HHKBの三つをつながないといけないので、設置も手間ですし場所もとります。そこで、今回はこれをケースに入れるなどして実用的にしたいと思います。
ケースを選ぶ
アダプターをどのような形でケースに収めるか、そのケースはどのようなものにするかを考えているうちに、このアダプターだけをケースに収めるのではなく、ポメラ本体やHHKBごとケースに入れてしまえば、一体化して使いやすく出来るのではないかと考えました。そうすれば、HHKBをケースに入れて持ち運びながら、移動中はポメラで文章が書けます。
それを思い付いたのは、バード電子から発売されている「Happy Hacking Keyboard用トランスポーター TR-HHK」というケースを見付けたときでした。
このケースは、HHKBにぴったりなサイズでクラッチバックのような形をしていて、ジッパーを開くと蓋にスマートフォンやiPad miniなどの小さなタブレットを立てかけて使えます。
この蓋の部分にポメラが仕込めるのではないかと思い付きました。
このケースのレビューを見ていると、キーボードルーフやパームレストも入るとのことで、ポメラとアダプターを入れる余地があるだろうと考えたのです。
そこでさっそく、この「TR-HHK」というケースを購入してみました(このケースのレビューに関しては別の記事にまとめてあるので、そちらを参考にしてください)。
実際に購入して寸法を確かめてみると、奥行き方向に少し隙間もあり、ポメラとアダプターを含めて、なんとかケースの中に入れ込むことはできそうです。
それと、このケース自体が中々カッコイイので、これをケースに使う方向で製作を進めることにしました。
模型を作る
実際にこのケースにポメラとアダプターを入れる方法として、HHKBのキーボードルーフを作ってそこにポメラの液晶画面とメイン基板を載せ、奥行き方向の隙間に電池やスイッチ類を入れる箱を作って、そのスペースにすべてを収めることにしました。
キーボードルーフでケースの中のHHKBのキーを守ることもできて一石二鳥です。
キーボードルーフや箱はアクリル板で作ることにしましたが、その前にプラ板で模型を作って実際にケースの中に収まるのか確かめます。
このようにHHKBの上にキーボードルーフを被せ、奥に電池・スイッチボックスとなる箱を入れます。
キーボードルーフには真ん中に四角い穴を開けて、そこからポメラの液晶画面を出すことにします。
この状態で「TR-HHK」に入れてみると、まだ少し余裕がある状態で収まりました。
模型から更に寸法を微調整してアクリル板を切り出します。しかし、自分では正確に切り出せないと思ったので、業者さんに発注しました。
アクリル板を組み立てる
発注したアクリル板は、このように正確にカットされて送られてきました。
特に、液晶画面を出すために板をくりぬく部分は自分では上手く加工出来そうにないので、業者さんに頼んで正解でした。
持ち運ぶので、塗装すると塗膜が剥がれることを考え、塗装しなくて済むよう、今回、アクリル板は最初から黒色のものを選んでいます。
さっそくこれを組み立てます。
保護のために張ってある紙を剥がし、マスキングテープで仮組みして、そこにアクリル用の接着剤を流し込んで固めました。
穴の空いた広い方がキーボードルーフになる部分で、長細い方が電池とスイッチが入る箱になります。
スイッチは、ポメラの電源スイッチとアダプターのスイッチの二つで、この箱の両端に穴を開けて付けました。
このキーボードルーフ部分と箱は同じアクリル素材の蝶番で繋ぎ、ある程度の角度が調整できるようにします。
箱の下にはベルクロのテープを貼って、ケースの中で動かないように固定しました(ケースの内側は、HHKBを傷めないように起毛の素材になっているので、ベルクロのテープが貼り付きます)。
これで、ポメラとアダプターを仕込む骨組みの完成です。
ポメラを分解して必要な部品を取り出す
以前、メカニカルキーボードのポメラ「メカポメラ」を作ったときもそうでしたが、改造のためのドナーとなるポメラを手に入れます。
ネットオークションで、キーボード部分が壊れ、外装が加水分解でベタベタになったポメラDM20を、送料込み2000円弱で落札しました。
それを分解して、液晶部分とメインの基板部分だけを取り出します。
今回はこの部分だけを使います。
取り出したこの二つの部品に電池を繋ぎ、アダプターとHHKBを繋ぐと問題なく動作しました。
アダプターの電源は9Vの電池にして、ポメラの電池と一緒に箱の部分に収めます。
液晶画面と基板を組み込む
まず、キーボードルーフに開けた穴に液晶画面を張り付けます。張り付けるのには、3Mの強力な両面テープを使いました。
液晶の下の穴は、HHKBにつなぐOTGケーブルを通す穴です。
基板やアダプターは、スペーサーを噛ませてネジで固定しました。裏面からはみ出さないように、ネジは皿ネジにして、面取り用のドリルビットで削って面一にしています。
このように基板を取り付けると、時刻や設定を保存するボタン電池の入れ替えが面倒になるので、配線をコードで延長してボタン電池用のフォルダも取り付けました。
箱の方には両端にスイッチを取り付け、電池を入れます。
右端の赤い押しボタンのモーメンタリースイッチがポメラの電源スイッチで、左端のロッカースイッチがarduinoのスイッチです。
電池ボックスの固定にはベルクロテープを使って、取り出しやすくしました。
アダプターのスイッチと電池の配線はarduinoの電源用のDCジャックに繋ぎました。
それなので電源のあるところでは電池を使わず、ACアダプターから電源を供給することもできます。
前回完成させたアダプターは、arduino dueとその上のICのシールドからなっているのですが、このままでは高さがあってケースの内部に収まらないので、arduinoとシールドを横に並べて設置する形にして、arduinoのピンソケットとシールドのピンヘッダを取り除き、お互いをコードで繋ぎました。
シールド側はキーボードルーフにネジとスペーサーでとりつけ、arduinoはケースの蓋に取り付けています。
こうして横向きに配置しないと、電源のDCジャックやキーボードとつなぐOTGケーブルが干渉するので、このような形に落ち着きました。
また、arduinoとシールドを分けてケーブルでつないだことが原因なのか、シールドのICが誤動作するようになったので、セラミックコンデンサのパスコンをそれぞれのICにつけて対策しました(これは最初から付けておくべきだったようです)。
すべてを取り付けて、このように完成しました。
蓋を開くと連動してキーボードルーフ部分が開くように、蓋とキーボードルーフは紐で繋いでいます。
キーボードルーフは普通の蝶番でつながっているだけで、トルクヒンジのようなものは使っていませんが、ルーフがケースの蓋に寄りかかることで、このように丁度いい角度で止まるようになっています。
まとめ
どうにか完成までこぎ着けました。
正面から撮った写真です。
横から見るとこのようになっています。
画面の傾きは、ケースが開く範囲で、ある程度調整できます。
こちら側にポメラのメイン基板があるので、隙間からUSBケーブルを差したりMicroSDカードを入れて、PCなどと文章のやり取りをします。
後ろから写真を撮りました。
上から見るとこのような感じ。
ケースからHHKBを外したところです。
接続はHHKBにOTGケーブルを刺すだけです。
たたんでジッパーを閉めると、このようにコンパクトになります。
以前作った「メカポメラ」と、ポメラDM100と並べてみました。
HHKBがそのまま入っている分、今回作ったものが一番大きくなっています。
同じ文書作成専用の「Freewrite」と並べました。
広げた状態では大体同じような大きさです。
折りたたむと、「Freewrite」に対して半分くらいの大きさになります。
最初は、アダプター部分を小さなプラスチックケースにでも入れて完成にしようと思っていましたが、このようにポメラとHHKBを一緒にケースに入れたことで、改造が大ごとになってしまいました。
ですが、一体化させたことで、ケーブルを抜き差しする手間や設置する場所が省けてすっきりしたと思います。
「メカポメラ」を作ったときの、折りたためないということへのリベンジにもなりました。
HHKBをケースに入れて運びながら、移動中はポメラで文章が書けるのは最高です。
どこでもHHKBで文章が綴れます。静電容量スイッチの打ち心地を外に持ち出せます。
ポメラの起動が速くて、ジッパーを開けてすぐに書き始められますし、HHKBをケースから取り出すときはOTGケーブル一本外せばいいだけなので、手間もさほどかかりません。
HHKBとポメラ、両方のガジェットのファンである私には最高のガジェットになりました。
ひとまずこれで完成にして、しばらく使ってみて、改善する点があったらまたそれを盛り込みたいと思います。
ポメラにHHKBをつなげる①
ポメラにHHKBをつなげる②
ポメラにHHKBをつなげる③
ポメラにHHKBをつなげる④
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