メカポメラにWi-Fi機能を追加しました

メカポメラにWi-Fi機能を追加しました

ポメラDM20のキーボードをメンブレンキーボードからメカニカルキーボードに換装した「メカポメラ」は、その後、便利に使っています。
やはり、すぐに立ち上がって書き始めることが出来るポメラのレスポンスの良さは他に代えがたいですし、メカニカルキーボードの打ち心地も最高です。
「メカポメラ」を作ったことによって、同じメカニカルキーボードの文字打ち専用機、Freewriteの出番がめっきり少なくなってしまいました。

しかし、Freewriteのほうにも「メカポメラ」にはない利点があります。

それは、Wi-Fi機能を内蔵していて、接続すると専用のクラウドに自動で文章をアップしてくれる点です。

現在「メカポメラ」は、ファイルをPCとの間で移動させるのにUSBケーブルを使っていて、書き上げた文章をPCにコピーしたり、PCのファイルを「メカポメラ」に移す際、わざわざUSBケーブルを差さなければなりません。
その抜き差しは地味に面倒ですし、そのたびに、PCの方で「ハードウエアの安全な取り外し」の操作をしなければならないのは手間です。
ポメラがすぐに立ち上がって気軽に文章を書けるだけに、この手間は余計に煩わしく感じてしまいます。

そこで、「メカポメラ」にもWi-Fiを内蔵して、ケーブルを使うことなくPCとの間で文章のやり取りが出来るようにしたいと思います。

FlashAirを導入する

簡単にWi-Fiでファイルをやり取りする方法としてまず思い付いたのは、無線LAN機能を搭載したメモリーカード、東芝の「FlashAir」です。

このメモリーカードは、無線LAN機能を搭載しているので、カートリーダーなどから上のようにモバイルバッテリーで給電すれば、この状態でファイルサーバーとして使えたりもします。

ポメラでも、DM100やDM30はFlashAirに対応していて、Wi-Fiで文章をやり取りすることが出来ます。
メカポメラの元になったDM20でもそれを使ってWi-Fi対応にしたいところですが、FlashAirがSDカードなのに対して、DM20のカードスロットはMicroSD規格です。
FlashAirを使おうにも、まず、スロットに挿すことができません。

そこで、MicroSDカードのスロットにSDカードを挿せるこのようなアダプターを使ってみました。
サンコーのSD-microSD変換エクステンションケーブル「SDCVET2K」という製品です。
これで認識してくれれば、メカポメラを簡単にWi-Fi対応させることができます。

結果、DM20にアダプター経由で挿してもFlashAirは使えました。

FlashAirには自身がWi-Fiのアクセスポイントになる「アクセスポイントモード」と、子機になる「ステーションモード」がありますが、今回は「ステーションモード」で接続しています。
FlashAirを「ステーションモード」にして自宅のWi-Fiにぶら下げておけば、同じLAN内の他のPCなどからポメラに挿したFlashAir内のファイルをやり取りできるようになります。

しかし、使えるには使えたのですが、Wi-Fiに繋がったり繋がらなかったり、動作が安定しませんでした。

そこでよく調べてみると、ポメラは電力節約のためか、メニュー画面から「開く」を選んでファイル選択画面にしているときだけSDカードに給電し、それ以外のときは給電を止めているようです。
その画面になっているときはFlashAirに給電してWi-Fiに繋がりますが、他の画面にしているときはFlashAirが動作を止めていることが分かりました。


それなので、PCなどと接続するときは、ポメラ側のメニューから「開く」を選んで、ファイル選択画面にしておく手順を踏めば、安定してWi-Fiに繋ぐことが出来ると分かりました。
逆にこれがFlashAirのWi-Fiのスイッチになって便利かもしれません(ただし、通信している最中にポメラの画面を切り替えると給電が止まってファイルが破損するなどの影響が出る恐れがあるので、その点は注意が必要です)。

これでメカポメラも無線で繋がるようになったと喜んでいたら、落とし穴がありました。

FlashAirは普通のSDカードと比べて大きな電力を必要とします。
ポメラは単四の乾電池二本(エネループのような充電池も使えます)で動きますが、Wi-Fiを使うとすぐに電池がなくなります。
充電したばかりのエネループを入れても、Wi-Fiに繋ごうとすると電力不足ですぐに電池を替えるようにとの警告が出てしまいました。
これでは頻繁に電池を替えなければならず、せっかくFlashAirが使えるようになったのに使い物になりません。

そこで、単四電池二本で動くメカポメラを、もっと容量の大きいモバイルバッテリーで動くように改造することにしました。
メカポメラをモバイルバッテリーで駆動させることができれば、電池を気にすることなく長時間使えます。

モバイルバッテリーに対応させる

ポメラDM20の電圧は3Vです。
一方、モバイルバッテリーは5Vなので、DC-DCコンバータで降圧します。


ケースの中に入るよう、小型のモジュールを探して、「ShopU」で購入した「DC電源モジュール 4.5-28V→0.8-20V」という製品を使いました。
基板上の半固定抵抗をドライバーで回して、3Vになるよう調整して使います。


一度「メカポメラ」を分解し、基板を取り出して、上の写真の電池を入れるスプリングの部分を、はんだを溶かして取り外し、DC-DCコンバータを挟んで、USBケーブルの電源線に繋ぎなおしました。
元の単四電池も使えるように、スライドスイッチの選択式にして、スイッチは元々あった底面のディップスイッチの穴から出します。


このように、「メカポメラ」のケース内に、DC-DCコンバータとFlashAirを設置しました。
モバイルバッテリーを繋ぐUSBケーブルは、背面から出すようにしています。
FlashAirは抜き差しする必要がないので、挿しっぱなしにして、このままケースに納めてしまいました。

これで電池が長持ちのメカポメラができたと思いきや、問題が起こりました。

省電力なポメラは、FlashAirがWi-Fiで大量の電力を使うとき以外、微弱な電力しか使いません。
そのため、モバイルバッテリーが機器の充電が完了したと判断して給電を止めてしまうのです。

家にある数種類のモバイルバッテリーを全て試してみましたが、どれもダメでした。
ポメラを起動して十秒くらいすると、電源が落ちてしまいます。

ダミーの負荷などをかけてモバイルバッテリーが給電を止めないようにしようとも考えましたが、せっかくポメラが省電力なのに、余計な電力を使うのももったいない気がします。
なにか解決策がないか調べていると、低消費電力の機器にも給電し続けるIoT用のモバイルバッテリーがあることが分かりました。


それがこの「cheero Canvas 3200mAh IoT 機器対応」(CHE-061-IOT)です。
3200mAhと今のモバイルバッテリーの中では容量が小さいですが、IoT用を謳うモバイルバッテリーはこれ以外にないようなのでこれを使うしかありません。
しかし、元々省電力のポメラだけにこれで十分だと思って購入しました。


結果、問題なくメカポメラをモバイルバッテリーで動かすことに成功しました。
FlashAirを使って他のPCと繋いでみましたが、電力不足の警告が出ることもなく、普通にファイルのやり取りができます。

まとめ

無線でPCとファイルのやり取りが出来るようになって、「メカポメラ」の魅力が増しました。
Wi-Fiで繋がるまでに数十秒待ちますが、USBケーブルを繋いだり外したりする手間を考えると、格段に便利です。
今まではそれが面倒で、ある程度文章を書き溜めた段階でPCに送っていましたが、気軽に送れるようになりました。

また、モバイルバッテリーの持ちも十分です。

この仕様にして二ヶ月ほど使っていますが(一日、短いときで15分、長いときで1時間くらいの使用です)、バッテリーの3つある目盛りの表示が一つ減ったくらいです。
このペースだとモバイルバッテリー一回の充電で、三、四ヶ月は使えるんじゃないかと思います。
電池交換の手間からも解放されました。

Wi-Fiとモバイルバッテリー駆動を手に入れて、「メカポメラ」はますます便利な道具になりました。

一つ残念なのは、「メカポメラ」が便利すぎて、FreeWriteのほうをあまり使わなくなってしまったことです。
FreeWriteの形や打ち心地が素晴らしいだけに、日本語入力環境が貧弱なのが悔やまれます。

 

※上記のような改造は自己責任でお願いします。それにより機器が破損したり、ファイルが破損するなどの損害が発生しても、当方は責任は負えません。

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