Freewriteをしばらく使ってみての感想

Freewriteをしばらく使ってみての感想

FreewriteはAstrohausが販売している文章作成専用機です。

文章作成専用機といえば、日本ではキングジムのポメラが有名で、私も初代のDM10を使ったことがありますが、このFreewriteの特徴は、電子ペーパーディスプレイを搭載していることと、そしてなんといっても、Cherry MXのメカニカルキースイッチを採用していることです(茶軸が使われています)。

畳んで半分になるポメラのキーボードは持ち運びに便利ですし、打ち心地もそれほど悪くないのですが、やはり、メカニカルキーボードの19㎜ピッチのキーに比べれば窮屈で打鍵感も薄く、これをメカニカルキーボードで使えたらと長年思っていたところ、Freewriteの発売を知り、その値段の高さに清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入しました。

しかし、購入してしばらく使ってみると、Freewriteとポメラは似て非なるものだと分かりました。

 

まず、Freewriteには、方向キーがありません。

このブログでは、以前、Happy Hacking Keyboard用に方向キーが付いたパームレストを作る記事などを書きましたが、このFreewriteは、「キー」として方向キーがないのではなく、方向キー自体の機能がないのです。
方向キーがないHHKBも、ファンクションキーと同時押しすることで方向キーの機能は使えましたが、その機能自体がないFreewriteではその方法も使えません。

したがって、Freewriteでは一度書いた文章を書き直したり、推敲することができません。
唯一、バックスペースキー(BSキー)があるので、書き間違えたらBSキーでそこまで文章を消して戻ることができますが、当然、そこまでの文章は消えてしまいます。
書いていた文章を読み直して間違った箇所があっても直せないので、そこは無視するか、破棄して新しい文章を書き直す必要があります。

 

開発元自身がFreewriteを「究極の下書きマシン」と位置づけているので、一度書いた文章を直せないのはこの製品の信念なのでしょう。
その代わりに、キーボードの両端の赤い「New」のキーを同時押しすると、今書いていた文章を閉じて新しいファイルを開くことが出来ます。
書き損じたり、気に入らない文章になったら、直すなんてことをしないで、とっとと次の文章を書け、って言われてるみたいです。

 

Freewriteは、その形やメカニカルキーボードを備えている点から、21世紀のタイプライターと呼ばれることがありますが、機能的にもタイプライターと言えると思います。
よく、昔の映画などでタイプライターに向かった作家が、間違えたり、途中まで書いた気に入らない文章を破棄して、用紙を丸めてゴミ箱に投げたりするシーンは、「New」を同時押しして、次の文章に移るときのFreewriteでの行為とそっくりです。

ただし、そこは21世紀のタイプライターで、Wi-Fiを搭載しているため、Wi-Fiをオンにしておくと、自動でクラウドに文章が同期されますし、GoogleDriveやEvernote、Dropboxなど、任意のサービスに文章を送信することも出来ます。
あくまでも、Freewriteではガシガシ文章を書いて、推敲や編集はPCで、というのが仕様のようです。

ですが、Wi-Fiを搭載してクラウドサービスに繋がるといっても、そこは一方方向で、クラウドにある文章をFreewriteに読み込んで開く、ということは出来ません。
FreewriteにはUSB端子が付いていますが、それは充電のみに使い、PCと繋いでPCの文章を取りこむ、ということも出来ないのです。
Freewriteからは自分が書いた文章を送り出すだけです。

そこは徹底しています。

 

また、タイプライターといえば、インクでタイプした用紙が下から上に上がっていきますが、このFreewriteも、書いた文章が下から上にスクロールします。
上から下に書き進めていくPCのワープロやエディターソフトなどとは逆です。

そんなスタイルからも、PCを文書作成機能だけに絞り込んだようなポメラとは方向性が違うガジェットだと思いました。

 

また、日本語でFreewriteを使う場合、日本語変換がポメラに入っているATOKなどよりも劣りますし、日本語入力をオンにするとカーソルが消えてしまったり、単語登録が出来ないなど、ポメラなどを使う時よりも我慢を強いられる場面がありました(インライン変換ではなく、ディスプレイの下に変換候補が出るタイプですが、幸い文章が下から上にスクロールする仕様のため、変換候補と文章が近く、その点に不満はありません)。
単語登録が出来ないので、辞書にない固有名詞を打つときなど、一々漢字を一文字ずつ打ったり、面倒なことが多いです。

日本語で書くなら、やはり、ポメラの方に一日の長があります。
日本語変換の精度も、ポメラの初代、DM10以下だと思います。

 

では、Freewriteは使えないかというとそうでもありません。

やはり、19㎜ピッチのキーボードで、それもメカニカルキーの打鍵感は何物にも代えがたいのです(これで、HHKBなどの静電容量無接点方式だったら、なお良いのですが)。
アルミのボディーは頑丈でびくともしません。
そして、Wi-Fiで繋がっていて、自動的にクラウドに文章が上げられるのは、やはり便利です。

買って一通り遊んだからおしまい、というガジェットが、私の部屋の押し入れの中には詰まっていますが、このFreewriteは未だ私の机の上にあって、毎日、電源を入れては、なにかしらの文章を書き込んでいます。

この仕様に納得できるなら、とてもいいガジェットだと思います。

さて、なぜ、私が今頃になってFreewriteのレビューを書いたかというと、Freewriteを使い続けるにつれ、「もし、ポメラにメカニカルキーボードが付いてたら」という、昔から考えていたことを実行に移したくなったからです。

古いポメラを改造して、そのキーボードをメカニカルキーボードに置き換えてみようと思いました。
昔のワープロ専用機から、プリンターを外したようなガジェットが出来たら最高です。

次回以降、ポメラを改造して、メカニカルキーボードで使えるようにする記事を書きたいと思います。

 

※追記 メカニカルキーボードのポメラを作る①の記事を書きました。

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